研究課題/領域番号 |
10123219
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
一ノ瀬 泉 九州大学, 工学部, 助手 (50243910)
|
研究分担者 |
米澤 徹 九州大学, 工学部, 助手 (90284538)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 表面ゾルゲル法 / 酸化物薄膜 / 重合吸着法 / 金ナノ微粒子 / 水晶発振子 / 分子鋳型 / 高分子超薄膜 / 光電変換 |
研究概要 |
我々は、分子レベルで組成制御された傾斜機能材料を構築するために、新しい逐次吸着法によるナノ傾斜薄膜の作成を検討してきた。本研究では、互いに反対電荷を有する高分子電解質を用いた交互吸着法、金属アルコシキドの逐次吸着より酸化物ゲル薄膜を作成する表面ゾルゲル法、さらに重合溶媒から直に高分子超薄膜を作成する重合吸着法を確立し、様々な化学的機能の発現を謀った。 表面ゾルゲル法では、分子的厚みの酸化物薄膜(チタン、インジウム、ニオブ等)や水酸基を有する有機分子を任意のシーケンスで積層化できる。我々は、酸化物ナノ薄膜とポルフィリン系色素分子との積層型薄膜を作成し、湿式系での光電変換特性を検討した。ITO基板に作成した約20ナノメートルの厚みのIn_2O_3/ポルフィリン多層薄膜にレーザーを照射すると、数μA/cm^2の光電流が観察された。 光電流は、積層回数に比例して増大し、酸化物層の種類にも大きく依存した。一方我々は、末端に水酸基とチオール基を有する長鎖アルキル化合物を保護剤とし、粒径制御された金ナノ微粒子を合成する手法を確立させた。これらのナノ粒子は、表面に多くの水酸基を有し、チタンアルコキシドとの交互吸着により、ナノ粒子の構造を保持したまま、固体基板上への積層化が可能であった。 表面ゾルゲル法を用いて水晶発振子上にアミノ酸誘導体を含んだ酸化チタンゲル薄膜を作成し、水酸化ナトリウム水溶液で処理すると、アミン酸の構造を鋳型とする多孔性ゲルを形成できる。このようなゲル薄膜が鋳型分子を特異的に再吸着することがin-situQCM法により確認され、糖分子の幾何異性体やアミノ酸の分子不斉を高感度で識別可能なことも明らかとなった。 高分子の重合溶液に固体基板を適当な時間浸漬させ、その後十分に洗浄すると、基板表面に数ナノメートルの厚みの高分子超薄膜が形成される。我々は、このような重合吸着法を幅広い高分子化合物に展開させた。本手法は、特に難溶性高分子(ポリピロール、ポリウレア等)のナノ厚みの薄膜形成に有効であり、傾斜薄膜の作成プロセスとして有望なことが明らかとなった。
|