研究概要 |
本研究では,磁気的傾斜機能材料用の局所磁気特性分布の測定装置の開発を目的として,現有の二次元磁気特性測定装置の改良並びにセンサーの小型化を行った。磁界測定用センサーには十字型に巻かれたHコイル,磁束密度測定用センサーには十字型に配置された探針を用い,各2組で各成分の測定を行った。測定システムは,自動座標決め装置,コンピュータワークステーション,励磁装置,パワーアンプ,増幅器,データ取り込みシステムで構成した。磁気的傾斜機能材料の提供を要請したが,開発段階のため,その局所的磁気測定は研究期間中には遂行できなかったが,開発したシステムの性能試験の一環として,高配向性の結晶粒の大きな珪素鋼鈑や磁性部と非磁性部を有する複合材料に対する磁気測定並びに変圧器モデル鉄心と三相誘導電動機モデル鉄心の局所的磁気特性を本システムにより明らかにし,その有用性を国際会議等で報告した。 この測定はHベクトルとBベクトルの関係を把握できる二次元磁気特性測定が行えるため,各箇所における磁界強度Hベクトル並びに磁束密度Bベクトルの挙動が把握できる従来にない特色を有し,磁気的傾斜機能材料のみならず複合材料などの不均質磁性材判の開発・評価に今後有効に使用できる。さらに無方向性けい素鋼板が用いられている誘導電動機でも,圧延方向の比透磁率がそれと直角方向の値と比較して1.5倍程度大きく,局所的には磁界強度Hベクトルと磁束密度Bベクトルは同じ方向を向いていない。これらの現象の解明や高効率化の研究にも非常に有用なものとなる。
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