研究概要 |
海洋生物からは、多くの不斉炭素を含む多官能性分子や巨大分子が種々単離されているが、高分解NMRやMSなどの最先端の分光学的手法を駆使しても、これらの高次立体構造の決定は難しい場合が多い。本研究では、渦鞭毛藻Amphidinium sp.より単離した殺細胞活性を示す新規27員環マクロリド・アンフィジノリドLおよびTheonella属海綿がら単離した37員環マクロリド、セオネゾリドAについて、酸化開裂フラグメントの立体異性体を合成することにより、高次立体構造を解明することを目的とする。1)アンフィジノリドLの8位、9位、11位の不斉炭素を含むC-1〜C-147ラグメントに関して、C-1〜C-6フラグメントとC-7〜C-14フラグメントとのWittig反応によるカップリングを鍵反応として、可能な2つの異性体を合成した。アンフィジノリドLとNMRデータを比較することにより、8位、9位、11位の相対立体配置は、8R^*、9R^*、11R^*であると解明した。2)セオネゾリドAのオゾン分解で得られたC-4〜C-17フラグメントに含まれる8位、10位、14位、16位の4個の不斉炭素の絶対立体配置の決定を行うため、本フラグメントの可能な2つの立体異性体の合成を達成し、^1H NMRデータおよび比旋光度の比較により、8位、10位、14位、16位の絶対立体配置は、8S、10R、14S、16Sであることを明らかにした。3)アシフィジノリドBのC-1〜C-13セグメントの合成研究において、1,4-ブタンジオールを出発物質として、4工程でC-3〜C-7セグメントを合成した。一方、(2S,4S)-2.4-ペンタンジオールを出発物質として、Sharplessの不斉エポキシ化反応を用い、13工程でC-8〜C-13セグメントを合成した。C-3〜C-7セグメントとC-8〜C-13セグメントをカップリングし、5工程てC-1〜C-13セグメントを合成した。
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