研究課題/領域番号 |
10125220
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福住 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40144430)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 電子移動触媒 / スカンジウムイオン / Diels-Alder反応 / NADH類縁体 / 環化付加反応 / 光付加反応 / 10-メチルアクリドン / 光電子移動 |
研究概要 |
電子移動過程は用いる基質の酸化還元電位でその反応性が決まってしまうのでその適用範囲には限界があるが、電子移動過程自体を適当な触媒を用いてその反応性のみならず選択性も制御することができれば、新しい有機分子構築法としてその効果的な利用が飛躍的に広がることが大いに期待される。平成10年度の研究では、電子移動触媒として最も活性の高いスカンジウムイオンおよびそのHMPA錯体を用い、アントラセン類とビニルケトン類とのスカンジウムイオン触媒Diels-Alder反応について詳しい検討を行い、スカンジウムイオン触媒電子移動がその活性化過程であることを明らかにした。また、ジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)類縁体や4-アルキル-NADH類縁体とカルボニル化合物との反応を行ない、スカンジウムイオン存在下、NADH類縁体とp-ベンゾキノン類との環化付加反応が進行することを初めて見い出した。この場合も、BNAHから基質への電子移動過程をスカンジウム錯体が活性化することを明らかにした。電子移動の結果生成するラジカルアニオン錯体はラジカルカチオンとカップリングして効率的に付加反応が進行する。電子受容能力の低い基質についてもその光励起状態には容易に電子移動が起こるので、非常に広範囲の基質との反応が可能となる。我々はこれまでに、β,β-ジメチルケテンシリルアセタール(KSA)の10-メチルアクリドンへの光付加反応が電子移動過程を経て進行し、付加生成物が得られることを報告している。本研究では、KSAの代わりに比較的電子供与性の低いベンジルトリメチルシラン(PhCH_2SiMe_3)を用いた場合、光付加反応は進行しないが、電子移動触媒存在下、反応が進行するようになることを初めて見い出した。
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