研究課題/領域番号 |
10126216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥居 徳昌 東京工業大学, 工学部, 教授 (20111651)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 真空 / 交互蒸着 / 薄膜 / 高分子 / ナイロン / 伸びきり鎖 / 電気伝導度 |
研究概要 |
交互蒸着重合法は、反応性のある2種類以上の分子種を基板上で交互に重合反応させ、高分子薄膜を作製する方法である。例えば、2官能性モノマー分子を交互に付着させ、逐次重合させることにより、ポリアミドやポリイミドさらに多元系高分子(例えば、ナイロン66、1010等)薄膜が作成できる。本研究では、交互蒸着重合法を利用して、薄膜面内で分子鎖を、積み木細工のように1分子層ごとに積層化した高分子超薄膜の作成と、薄膜構造と物性の関係を明らかにすることを目的とした。本研究において、2元系ナイロン66,88.1010の各々の薄膜を作成し、薄膜構造を詳しく調べた。各2元系薄膜は、分子鎖が基板に対し垂直方向に配列し、水素結合は基板に対し水平方向に配向していることが分かった。結晶構造は、従来報告されているα、β型とは異なる新しいδ構造を形成している。4元系ナイロン6688薄膜も2元系薄膜と基本的には同様な分子鎖配向を持った薄膜構造をしていることが分かった。 交互蒸着重合法で作成したナイロン66薄膜の電気伝導度は重合回数と共に直線的に変化し、膜厚で規格化した伝導度は、重合回数によらず、電動度が約2.5pS/cmとほぼ一定値を示した。この結果は、本蒸着重合法で作成した薄膜は、均一で、膜の電気伝導様式も一定である事を示している。さらに、蒸着重合薄膜では、膜厚方向と膜面内方向の電気伝導度に大きな異方性が現れ、膜面内方向の方が、膜厚方向より1-2桁大きな伝導を示した。この結果は、水素結合が膜厚方向に対しほぼ垂直方向に連なっていることから、電気伝導は、この水素結合面に沿って流れ易いためであると思われる。
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