研究概要 |
キラルホスフィンホスファイト配位子(R,S)-BINAPHOSを二価パラジウムに配位させた錯体を触媒として用い、ビニルアレーンと一酸化炭素の不斉交互共重合、ならびにプロピレン、ビニルアレーン、一酸化炭素の三元系不斉共重合に成功した。これまでは、脂肪族末端アルケンと一酸化炭素の交互共重合には二座でシス配位するビスホスフィン配位子が、スチレンに代表されるビニルアレーン類と一酸化炭素の交互共重合にはビピリジルやジイミンに代表される窒素二座配位子が用いられていた。これに対し、同じくリン配位子でありながら、ホスフィンとホスファイトを合せもつ(R,S)-BINAPHOSを用いると、プロピレン、ビニルアレーンと一酸化炭素がら三元系不斉共重合体が得られた。プロピレン-COならびにビニルアレーン-COの両ユニットが同一分子内にあることはtlc分析にて確認した。得られた三元系共重合体の^<13>CNMRのチャートが、本質的にプロピレン-CO、ビニルアレーン-COのチャートの重ね合わせであることから、アルケンと一酸化炭素が完全に交互にならんでいることが示唆された。また、両アルケンの配列に特に規則性は見られない。さらに、このポリケトンの旋光度測定の結果から、それぞれのアルケンのエナンチオ面はアルケン挿入の段階で主として触媒によって制御されており、いわゆるChain-end制御の影響は無視できることがわかった。
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