研究課題/領域番号 |
10127221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
岩渕 修一 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40294277)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | メゾスコピック系の物理 / クーロン・ブロッケイド / 微小強磁性トンネル接合 / トンネル磁気抵抗 / 電磁場環境効果 / エネルギー散逸と量子力学 / 高次のトンネル効果 / 非平衡グリーン関数 |
研究概要 |
本年度の研究実績は以下の3項目に纏められる。 (1) 微小強磁性二重トンネル接合に対するクーロン・ブロッケイドの微視的理論を (a) 非平衡グリーン関数による高次のトンネル過程の考慮 (b) 電磁場環境効果を各慮したアイランド電荷状態の自己無着な記述 を考慮して定式化し、トンネル電流、トンネル磁気抵抗変化率に対する厳密な表式を求めた。(a)は量子ゆらぎのによるクーロン・ブロッケイドの破れを記述する上で不可欠であり、(b)は電磁場環境効果それ自体がクーロン・ブロッケイドの安定性と電荷ゆらぎに関わる重要な物理であることに加え、これがアイランドの電荷状態に影響を及ぼすからである。この理論は、任意の外部環境インピーダンス(任意のエネルギー散逸)に対するクーロン・ブロッケイドに起因する伝導特性の検討を可能とするものである。 (2) この理論に基づいて、トンネル電流、トンネル磁気抵抗変化率に対する"電磁場環境効果を考慮した高次のトンネル効果"をダイアグラム的に検討した。高次のトンネル効果は、摂動の各次数で非平衡グリーン関数の非既約な自己エネルギーをもたらし、これが具体的な取り扱いを困難なものとしていることを明らかにした。 (3) 予備的な検討として、摂動パラメターの2次までの範囲で自己エネルギーのあるクラスを考慮してトンネル電流およびトンネル磁気抵抗変化率を数値的に計算した。結果は、電磁場環境効果の取り込みには成功しているが、量子ゆらぎの記述は未だ不十分であり、実験事実を定性的には記述するが定量的には記述できていない。従って、この系の伝導現象の物理の定量的理解のためには、未検討の白己エネルギークラスの評価、さらには非平衡グリーン関数そのものの定式化にまで踏み込んだ検討が今後の課題となる。
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