研究概要 |
我国の都市施設の多くは,臨海部に集積している.この臨海部地盤の多くは,埋立によって造成された人工地盤である.一般に,航路浚渫土砂や山砂によって埋立てられた地盤は,若齢であり自然の分級作用を受けていないなどの特徴を有し,工学的には必ずしも良好なものとは言えない.一方,埋立前の海底地盤は,軟弱な沖積粘性土から構成されている場合が多く,地震動の増幅を起こしやすい地盤である.本研究の目的は,このような特性を有する臨海部地盤の地震時挙動を実際の強震記録に基づいて実験的に検討することにある. 平成10年度の研究では,兵庫県南部地震において,神戸ポートアイランド人工島地盤を対象として,同地震において取得された強震記録および同人工島地盤の原位置材料を用いた事例解析実験を行った.具体的には,神戸ポートアイランドで観測された強震記録(加速度記録)を用いて、せん断リング土槽を用いた遠心力模型振動実験を実施した.この実験では,神戸ポートアイランドからサンプリングした沖積粘土、まさ土を用いて実験を行った.粘土については,乱さない粘土と乱した粘土地盤を作成し,圧密度の違いが地表応答に及ぼす影響について検討した.まさ土については,レキから細粒分までをふくむまさ土(30mm under),まさ土のレキ分のみ,まさ土の砂分のみの試料を用いて,粒度が液状化に及ぼす影響について検討した.また,得られた地盤の地震応答を実際の観測地震波と比較検討すると同時に,模型地盤に発生した応力-ひずみ関係も推定した.
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