研究概要 |
被災時の柔軟な組織的復旧の実現は,迅速なネットワーク機能の回復の面において,重要な課題の一つである.しかし,組織的な復旧戦略の決定は,復旧班の協力組み合わせと,被災リンクの復旧順番の同時決定問題となり,その最適な組み合わせを求めることが困難となる.本研究は,準最適解探索手法である遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms)を用いて,復旧班の協力体制を考慮した復旧スケジュールモデルを構築し,実際に構築したモデルを用いて国道レベルでの復旧問題を解くことを目的とする.このために,複数の復旧班が協力する場合の遺伝子線列のコーディング法を提案している.本研究では,最適解の探索を効率的に行うために,交叉,突然変異のプロセスなどGAの処理上の工夫を加えて組織的な復旧スケジュールの構築を可能とした.また,実際にケーススタディとして南西北海道の道路ネットワークを対象として協力復旧スケジュールの最適化計算を行った.このモデルは,「復旧班の人員」,「建設機械」,「復旧資材」,「復旧班の配置場所」,「管轄範囲」,「被災リンクの被災情報」,「被災ネットワークの形態」の7つをパラメーターとして自由に設定できるのが特徴である. その他,従来は,復旧班の被災箇所の担当配分と担当順位という組み合わせ問題とスケジュール問題の混合問題をそれぞれコーディングしていたが,セパレータの概念を用いて,スケジュール問題のみとして解く方法も提案し,効果を検討した.
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