研究課題/領域番号 |
10129203
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (50173159)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | シトクロムP450 / NO合成酵素 / ヘム-チオレート / ポルフィリン / X線結晶構造解析 / 酸化反応 / 共鳴ラマン分光 / 触媒 |
研究概要 |
シトクロムP450の化学において現在解決すべき重要な論点となっているものの一つは、 「ヘムの軸配位子チオレートへのペプチド鎖からの水素結合の役割」である。特にP450の特徴である卓越した酸化反応性に与える水素結合の影響は興味が持たれる。そこで、本研究者は、軸配位子効果の研究の一環としてこの観点から、Sに水素結合を有する新規なヘム-チオレート錯体を活性中心モデルとして合成し、その物性、反応性を詳細に検討した。 SR錯体の構造にS原子に水素結合を形成し得る位置にアミドのNHをリンカー部分に導入した錯体(SR-HB)を設計し合成を行った。鉄2価のCO錯体の吸光スペクトルは456nmにソーレ帯の極大吸収を有し、2価でチオレート配位が保たれていることが明確に示された。また鉄3価の状態での77KでのEPRスペクトルは、軸配位子がチオレートと特定できる低スピンのシグナルをいずれも与えた。さらにSR-HB錯体のX線結晶構造解析に関しても成功した。NH…S間距離は2.7Åであり水素結合の存在を示した。SR-HB錯体の還元電位はSR錯体より約0.lV正にシフトしており、これはS-NH間に水素結合によりチオレートの鉄原子への電子供与性が低下した結果と考えられる。また、酸素に対する安定性はSR錯体より一段と高まっていた。SR-HB錯体の触媒的酸素活性化能をパーオキシド類を用いて検討をおこなった。反応速度はSR-HB錯体で試みた全てのSR錯体誘導体より酸化を行う触媒の効率が高かった。またこの反応性とFe-S結合の状態とに相関があるのではないかと予測し、現在共鳴ラマンスペクトルで本結合の振動モードについて測定を行っている。
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