研究課題/領域番号 |
10129218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊東 忍 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30184659)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | オキシゲナーゼ / アルカンの水酸化 / 分子状態酸素の活性化 / 機能モデル / 銅タンパク質 / ペルオキソニ核銅錯体 / 活性酸素種 / ノンヘム |
研究概要 |
銅含有酸素添加酵素の活性中心における活性酸素種について詳細な知見を得るため、ピリジルエチル系の三座配位子を用いて銅(I)錯体と分子状酸素との反応について検討を行った。その結果、中間体としてサイドオン型の(μ-η^2:η^2)型ペルオキソ二核銅(II)錯体の生成を確認するとともに、その生成機構や各種分光学的特性を明らかにすることに成功した。また、この中間体の反応性について速度論的に検討を加えたところ、(μ-η^2:η^2)型ペルオキソ二核銅(II)錯体は真の活性種ではなく、ここからO-O結合の開裂を経て、配位子のベンジル位の定量的かつ位置選択的な水酸化反応が進行することを明らかにした。そこで次にピリジルエチル系の二座配位子を用い、その銅(I)錯体と分子状酸素との反応について分光学的および速度論的検討を加えた。その結果、アセトン中においてペルオキソ種のO-O結合が開裂して生成するbis(μ-oxo)型二核銅(III)錯体を直接観測することに成功した。この活性種は-80゚Cにおいても錯体濃度に対して一次的に分解し、配位子ベンジル位の水酸化反応が進行した。さらに配位子のフェネチルアミン側鎖をすべて重水素化した配位子を用いて速度論的同位体効果を検討したところ、-80゚Cにおいてk_H/k_D=35.4という大きな値が得られた。このことから本水酸化反応ではベンジル位の水素引き抜きが律速段階であることが判明した。一方、溶媒としてTHFを用いた場合、アセトン中とは異なりbis(μ-oxo)型二核銅(III)錯体に加え(μ-η^2:η^2)型ペルオキソニ核銅(II)錯体も同時に生成していることが判明した。同様の配位子を用いてニッケル錯体による酸素の活性化についても検討した結果、銅錯体の場合に比べO-O結合が開裂しやすくなっていることが判明した。
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