研究課題/領域番号 |
10129220
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷澤 克行 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20133134)
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研究分担者 |
牟禮 美苗 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20275241)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | キノノイド補酵素 / 銅アミン酸化酵素 / 銅イオン / トパキノン / 金属酵素 / 化学修飾 / X線結晶解析 |
研究概要 |
種々のアミン類の酸化的脱アミノ反応を触媒する銅アミン酸化酵素は、新規な共有結合型キノノイド補酵素、トパキノン(TPQ)を含有している。このTPQ補酵素は、酵素タンパク質中の特定のチロシン残基が翻訳後修飾を受けて生成する。私どもはこれまでに、TPQの生成が2価銅イオンと分子状酸素の存在下で起こる自触的反応であることを明らかにした。さらに、細菌の銅アミン酸化酵素のX線結晶解析を行い、銅イオンとTPQをともに含まない前駆体型アポ酵素とTPQ含有活性型ホロ酵素の構造を決定した。その結果、アポ酵素とホロ酵素の構造には大きな違いはほとんどないが、いくつかの活性部位残基の位置や向きが大きく異なっていることが明らかになった。本年度は、結晶解析により存在が示された本酵素の分子表面から活性部位に通じるチャネル(空隙)の機能を明らかにすることを目的として、NBD-Fを用いる化学修飾実験を行った。本酵素をNBD-Fと反応させたところ、時間とともに速やかに失活した。触媒反応生成物はこの失活から本酵素をほぼ完全に保護し、また阻害剤とTPQとの反応はNBD-修飾酵素において著しく遅くなった。NBD-修飾酵素の構造解析により、2個のリジン残基が修飾されていることが明らかになった。両リジン残基は、分子表面のチャネルの入口付近に位置していることから、このチャネルは基質アミン類や阻害剤が溶媒中から活性部位に入っていくための基質チャネルとして機能すると考えられ、NBD-Fで修飾されると立体障害または構造変化により、酵素の失活がもたらされると推定された。一方、銅リガンドとして機能している3個のヒスチジン残基について部位特異的変異を導入し、変異型酵素の性質を各種の分光学的方法を用いて現在解析中である。来年度は、この解析をさらに進めてTPQ生成過程での銅イオンの役割を明らかにするとともに、金属置換酵素や各種変異型酵素のX線結晶解析を行う計画である。
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