研究課題/領域番号 |
10129235
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
鳥越 秀峰 理化学研究所, ジーンバンク室, 研究員 (80227678)
|
研究分担者 |
横山 一成 理化学研究所, ジーンバンク室, 副主任研究員 (80182707)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 三重鎖DNA / DNA結合蛋白質 / 高次構造 / DNA認識機構 / Znフィンガーモチーフ |
研究概要 |
三重鎖DNAは、ホモプリン・ホモピリミジン二重鎖(pur・pyr)の主溝に沿ってホモピリミジン単鎖あるいはホモプリン単鎖がHoogstecn型の水素結合をすることにより形成する。これまで三重鎮DNA構造に結合する蛋白質は全く知られていなかった。しかし、ヒト癌遺伝子c-mycのプロモーター近傍のpur-pyr配列が形成する三重鎖DNA構造に結合し、c-mycの発現を制御する三重鎖DNA結合蛋白質MAZを、我々は単離した。この蛋白質はCys2His2型の5個のZn finger motifを有する。これまで、N末端に位置する3個のZn finger motifが三重鎖DNAと結合するのに必要な最小領域であることを確立した。また、この三重鎖DNAに結合するのに必要な最小領域の蛋白質(DBD)を大腸菌内で大量発現する系を樹立し、単品に精製することに成功した。さらに、精製したMAZのDBDはホモピリミジン単鎖DNAや三重鎖DNAと強く結合するが、ホモプリン単鎖DNAや二重鎖DNAとは結合しないあるいは弱く結合することを明らかにしてきた。 ところで、ホモピリミジン単鎖DNAがpur・pyrに結合するピリミジン型三重鎖DNAは、酸性pHでは安定であるが、中性pHでは不安定である。一方、ホモプリン単鎖DNAがpur・purに結合するプリン型三重鎖DNAの形成反応は、K^+イオン存在下で阻害される。そこで本年度の研究では、中性pHやK^+イオン存在下のような三重鎖DNAが形成しにくい条件下に三重鎖αDNA結合蛋白質MAZを加えた場合に、MAZが三重鎖DNA構造を安定化するかどうかを解析した。その結果、中性pHやK^+イオン存在下で三重鎖DNAを形成する際にMAZを共存させると、三重鎖DNA構造がかなり安定化されることが明らかとなった。これは、MAZを利用することにより、生理的条件で不安定な三重鎖DNAを安定化できる可能性を示すものである。また、三重鎖DNA形成を利用したアンチジーン法を生理的条件で適用する際に、MAZを利用できる可能性を示すものである。現在これと共に、X線結晶解析により、MAZのDBDと三重鎖DNAとの複合体の高次構造を明らかにし、MAZのDBDの三重鎖DNA認識機構を原子レベルで解明しようとしているところである。
|