研究課題/領域番号 |
10130205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 和仁 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)
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研究分担者 |
大越 慎一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (10280801)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 強磁性的相互作用 / 反強磁性的相互作用 / フェロ-フェリ混合磁性 / 三元系プルシアンブルー類似体 / カー効果 / 磁気光学効果 / ファラデー効果 |
研究概要 |
本研究では、これまでに強磁性的相互作用(J>0)と反強磁性的相互作用(J<0)を混合する(フェロ-フェリ混合磁性)ことにより、各種磁気特性が制御できることを三元系金属プルシアンブルー類似体で見い出している。今回は電気化学的に合成した、(Fe^<11>_xCr^<11>_<1-x>)_<1.5>[Cr(CN)_6]フェロ-フェリ混合分子磁性薄膜の光学的および磁気的物性の解析並びに磁気光学効果に関して検討を行った。試料の(Fe^<11>_xCr^<11>_<1-x>)_<1.5>[Cr(CN)_6]磁性薄膜は、K_3Cr(CN)_6、FeCl_3およびCrCl_3の混合水溶液中で-0.84V以上の還元電位を加えて合成した。膜の評価にはUV-vis、IRスペクトル、X線粉末回折を用い、磁気測定はSQUIDで行った。得られたフェロ-フェリ混合磁性体である(Fe_xCr_<1-x>)_<1.5>Cr(CN)_6磁性薄膜は溶液の混合比および成膜電位を変えることで、その磁気特性を自由に制御できた。例えば、飽和磁化は、x=0〜0.11の間では線形的に減少し、x=0.11でほぼゼロになり、x=0.11〜1の間で線形的に増加した。また、磁化の温度依存性は、0.11<x<0.15では補償点ともなく負の磁化が観測された。さらに、膜の色も、混合比に応じて変化し(黄色、赤、紫、透明)吸収極大が混合比により連続的にシフトしていることがわかった。この強い吸収は金属間の混合原子価に基ずくITバンドである。従って、三元系にすることにより非局在電荷の状態が制御されていると考えられる。従来の強磁性体は黒色かあるいは金属光沢を示し、可視部の光を透過しにくいのに対し、この磁性材料は透過する。これは、分子磁性体ならではの大きな特徴の一つである。また、吸収極大では、カー効果などの磁気光学効果が異常に大きな値を示すことが期待されるので、ファラデー効果を検討した。この材料のTcは220Kであり、それよりも高い温度では信号は観測されなかったが、低い温度で強い信号が観測された。
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