研究概要 |
放射線を用いた物性研究手段であるガンマ線摂動角相関(PAC)やメスバウアー分光は極微量の放射性同位元素をプローブ核として物質局所領域を超微細相互作用から調べることができる。特にその磁性は観測される超微細磁場からユニークに議論することができる。本研究課題は、放射線を用いた物性研究手段であるガンマ線摂動角相関(PAC)およびメスバウアー分光、すなわち極微量の放射性同位元素をプローブ核として微小領域の物性を超微細相互作用から調べること、特にその磁性を明らかにすることを目的として行った。本年度は、以下の2項目について研究を行い新しい知見を得た。 (1) Au/Cr人工格子のAu層磁性、超高真空蒸着装置で成膜されたCr層で挟まれたAu層の磁性を明らかにするため、Au(2nm)/Cr(2nm)およびAu(0.5nm)/Cr(2nm)の^<197>Auメスバウアー分光を測定し、Au層界面での超微細磁場を決定した。 (2) 超高真空下電子ビーム蒸着法を用い、Hf層をFe層で挟みHf層の厚さを変えた多層膜Fe/Hf/Fe人工格子を作製し、中性子照射を行い^<180>Hf(n,γ)^<181>Hf反応により試料中に^<181>Hf核を導入し、これらの人工格子で強磁性体FeにサンドイッチされたHf層界面磁性を^<181>Hf→^<181>Ta時間微分型ガンマ線摂動角相関(TDPAC)測定からFeの影響がHf層に及ぶ距離を求めた。Hf(0.5nm)/Fe(50nm),Hf(1nm)/Fe(200nm),Hf(2nm)/Fe(200nm),Hf(4.8nm)/Fe(200nm),Hf(10nm)/Fe(200nm)人工格子中の測定結果から、Hf/Fe人工格子において強磁性Fe層の影響は約2Hf層に強く及び、^<181>Ta核位置に約42Tの超微細磁場を生じさせていることが判明した。
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