研究課題/領域番号 |
10131201
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋詰 保 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 助教授 (80149898)
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研究分担者 |
兼城 千波 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 講師(研究機関研究員
藤倉 序章 北海道大学, 工学研究科, 助教授 (70271640)
長谷川 英機 北海道大学, 工学研究科, 教授 (60001781)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 電気化学プロセス / ショットキー接合 / 溶液 / 半導体界面 / インジウムリン / フェルミ準位ピンニング / パルス法 |
研究概要 |
金属-化合物半導体接合(ショットキー接合)界面においては、通常、フェルミ準位が禁制帯中の特定の位置に固定される、フェルミ準位のピンニング現象がおこるため、デバイスへの応用上、大きな制限が加わってきた。本研究では、パルス電界を利用して、化合物半導体の表面のエッチングと金属電極の形成を同一電解液中で行う、「その場」電気化学プロセスにおける、溶液/半導体界面の反応素過程の理解を基盤として、ショットキー接合界面のフェルミ準位ピンニング緩和機構を明らかにすることを目的とした。得られた成果を以下にまとめる。 1) エッチングパルス数によって、エッチング深さの精密制御が可能となった。パルス幅を0.1msとした場合、InP表面で、平均エッチングレート3x10^<-5>nm/pulseが得られた。 2) パルスメッキによる金属堆積初期過程をSEMおよびAFMで詳細に調べた結果、金属微粒子の核生成後、粒径が飽和するとともに微粒子の分布が密になることが明らかになった。さらに、メッキパルスのデューテイー比設定によって、粒径およびその分布の制御が可能となることが明らかになった。 3) 電気化学プロセスで形成したショットキー界面は、酸化層フリー、ストレスフリーであることが示された。 4) Pt/n-InPショットキー接合で、0.86eVという、これまでに報告例の無い極めて高い障壁高が実現された。また、n-GaAsおよびn-GaNに対するショットキー接合においても、熱電子放出理論に基づく電流-電圧特性が得られ、金属の種類に大きく依存した電流-電圧特性のシフトが観測された。 5) 電流-電圧特性より求めたショットキー障壁高の金属仕事関数依存性を詳細に調べた結果、n-GaAsに対しては、仕事関数値に対する障壁値の変化率(界面定数)は0.25となり、これまでの代表的な値の2倍以上の変化率を得た。また、n-GaNに対しては、さらに高い界面定数0.49を得た。これは、金属の波動関数が半導体側にしみだして表面フェルミ準位を本質的にピンニングするというモデル(MIGSモデル)に基づく理論値(0.29)をはるかに凌ぐ値である。 以上の結果は、本研究で開発された低温・低エネルギー電気化学プロセスによって、遷移層やストレスの無いショットキー接合が形成でき、フェルミ準位ピンニングの緩和により、金属の仕事関数に依存したショットキー障壁高のふるまいが得られたことを示唆する結果である。
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