研究概要 |
イオンを分子の自由行程位の局所領域中に閉じ込めてレドックスサイクルを行わせると,一分子の電極反応を観察できることがA.Bardによって報告されたが,エルゴード性を示したに過ぎない。本当に一粒子の電極反応を調べるにはピコ秒で揺らぎを測定せねばならないが,現在の電気化学の技術では不可能である。申請者は巨大なモデルレッドックスイオンを創製する可能性を見出し,表面電荷が10,000以上であり,電気素量が10,000倍大きくなったような挙動を示す。 ポリスチレンスルフォン酸のミクロスフィアーを合成した。大きな粒子が得られるように溶液調製した。TEMで観察したところ,直径が134nm,分散度が1.01であるほぼ単分散の球状ラテックスであった。このラテックスにポリアニリンを化学酸化によって修飾した。 微小電極法を用いて,ラテックスを酸に分散させたコロイドのCVおよび定電位電流時間曲線を測定した。後者の電流を時間の平方根分の1に対してプロットした切片と傾きから,粒子の拡散係数を算出した。この値はStokes-Einstein式を用いて球の直径から求めた値より少し大きかった。この拡散係数,濃度,プロットの傾きから求めたnの値は15,000であった。定常状態の電流を測定し,そのフーリエ変換を行ったところ,通常のノイズ(60Hz)に関連したノイズ以外の周波数応答が得られた。現在解析中である。
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