研究課題/領域番号 |
10131236
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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研究分担者 |
梶原 浩一 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (90293927)
内本 喜晴 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (50193909)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 無機結晶 / キラルらせん構造 / 不斉認識 / 電極 / 界面 |
研究概要 |
不斉認識は分子認識の究極的な位置を占めており、熱的・化学的、長期安定性に優れた不斉な反応場が容易に構築できれば、新しい分子認識界面として高選択性化学センサ作製、不斉電解合成など、様々な応用が期待できる。そこで、本研究では、安定で実用に耐える分子認識電極としてキラルらせん構造を有する光学活性無機結晶の電極としての適用を試み、電極・電解質界面に不斉な分子を認識する電気化学反応場を構築することを目的としている。 光学活性SiO_2結晶を中圧液体クロマトグラフィーカラムの充填材として用い、DL-アミノ酸の光学分割を試みた。SiO_2結晶は空間群;P3_12もしくはP3_22に属し光学活性であり、キラルらせん構造をとり、らせんの向きの異なる右水晶もしくは左水晶が存在する。右水晶をプラズマ表面処理し、DL-アラニンを不斉認識対象分子として用いた場合、(S)-体の方がより強い相互作用を受けることが明らかとなった。一方、同様にプラズマ処理を行った左水晶を用いたところ、右水晶の場合と逆の選択性を持つことが確かめられた。 キラルらせん構造をもつ光学活性SiO_2結晶を電極として適用するためには、支持電解質を含む系で不斉認識対象分子の一方の光学異性体を選択的に吸着する必要がある。前述の結果より、不斉認識を行うためには、結晶の表面に光学異性体が選択的に化学吸着する場としての水酸基を化学修飾する必要があることが明らかとなった。そこで、SiO_2結晶表面に水酸基が導入されると考えられるNaOHを支持電解質としたアルカリ性水溶液系での光学異性体の吸着能を検討した。DL-酒石酸の水酸化ナトリウム水溶液に、右水晶、左水晶を加え、溶液の旋光度を測定した。右水晶処理と左水晶処理により旋光度が発現し、しかもその符号が逆であることがわかる。これは右水晶表面にD-酒石酸が、また、左水晶表面にL-酒石酸が選択的に吸着していることを意味する。以上のように、キラルらせん構造をもつ無機結晶を用いて、支持電解質を含む水溶液系において不斉認識が可能であることを見出した。
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