研究概要 |
導電性高分子の二次電池の材料としての応用を研究対象として、カチオン捕捉能を有する官能基を高分子中に導入することにより電池機能を向上させることを試み、以下の二種類の新しい高分子の電解合成と機能の評価を行なった。 1. オキシエチレン基を有するポリアニリンの電解合成と性質 これまで高分子の側鎖に二つのオキシエチレン基を有するPoly-N-(3,6-dioxaheptyl)aniline(poly-NDHAn)の電解合成とその性質について検討し、n型ドーピングが可能である事を見い出した。今年度は、高分子の側鎖に三つのオキシエチレン基を有するPoly-N-(3,6,9-trioxadecyl)aniline(poly-NTDAn)の電解合成とその性質について検討した。生成したpoly-NTDAnのボルタモグラムには、通常観測される0.6V付近のp型ドーピングによるレドックスピークに加えて、-1.0V付近にn型のドーピング反応に起因するレドックス波が観測された。注目すべき点は、poly-NDHAnのボルタモグラムがかなり非可逆(ピーク電位差約1V)であったのに対し、poly-NTDAnにおいては可逆性が著しく向上(ピーク電位差約0.2V)した事であり、電池への応用において重要な成果である。GPC法によるpoly-NTDAnの分子量は110万であり、伝導度も0.9mScm^<-1>といずれもpoly-NDHAnとほとんど同じ値を示し、オキシエチレン基の鎖長を長くしても低下しなかった。 2. 自己ドープ型ポリアニリンの電解合成 新しい自己ドープ型ポリアニリンの合成を目的として、アニリン-2,5-ジスルホン酸(ADSA)の重合による自己ドープ型ポリアニリンの電解合成とポリマーの性質について検討した。ADSAを含むプロトン酸水溶液の定電流電解により、分子量3000-22000程度のpoly-ADSAが生成した。ポリマーは溶解度109mg/mlと水に可溶であり、伝導度は最大0.34Scm^<-1>であった。この値は、自己ドープ型ポリアニリンに期待される通り、pH9でも低下しなかった。
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