研究概要 |
2価チタン錯体と光学活性プロパルギルアルコール誘導体との反応により、光学活性アレニルチタンが得られることを見出した(Tetrahedron Lett.1998,39,4551)。これは、光学活性アレニルチタンの初めての合成例であるだけでなく、反応活性な光学活性アレニル有機金属の合成例としてほとんど例を見ない成果である。それゆえ、アレニルチタン錯休と各種親電子試薬の反応を行い、その生成物の立体化学より反応機構について知見を得るとともに、不斉合成の手法として確立することを目的として、研究をさらに展開させた。 その結果、加水分解は立体選択的にH_2Oがチタンに配位した後、起こることが明らかとなり、プロパルギル位にDあるいはアルキル基を持つアルキンのよい不斉合成法をなることが明らかとなった。また、Br_2やNCSとの反応もハロニウムイオンの形成後、チタンー炭素結合の切断が立体特異的に起こることが分かり、従来合成が困難とされてきた各種プロパルギルハライドの光学活性体の良い合成法となることが分かった。 また、光学活性アレニルチタンの初めての親電子的アミノ化反応に成功し、プロパルギルアミン誘導体の光学活性体の合成に成功した。
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