研究課題/領域番号 |
10132215
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三上 幸一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10157448)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 不斉活性化 / 不斉触媒 / 活性化 / 数値解析 / ラセミ |
研究概要 |
有機合成の中核をなす炭素共有結合生成反応の不斉触媒化を考えてみると、向山アルドール反応、桜井ー細見反応、Diels-Alder反応、そしてエン反応など、多くはルイス酸によって促進されることから、不斉ルイス酸錯体触媒の開発がその成功の鍵を握っている。それらの不斉触媒化のためには不斉配位子の分子機能設計とルイス酸性中心金属の選択が重要となる。しかしながら、そうした不斉配位子は一般に光学分割等により光学的に純粋に得られ、従って高価なものとなる。本申請研究は、不斉配位子をラセミ体そのままに用い、極微量の不斉活性化剤を用いることによってラセミ触媒による触媒的不斉合成を達成するという、全く新しいラセミ不斉触媒の活用法を合理設計することを目的とした。 既に申請者らは、全く新しいラセミ触媒の活用法として、一方のエナンチオマー触媒を選択的に活性化する「不斉活性化法」を報告した。それに対して不斉活性化剤がラセミ触媒のいずれのエナンチオマーをも活性化するケースも考えうる。そうしたケースとして本申請研究では野依らのBINAP-Ru触媒のジアミンによる活性化を取り上げた。まず、ラセミ触媒が不斉活性化剤によって活性化される際に生成するジアステレオマー錯体間に触媒活性の差が見られるかを検討した。その結果、不斉活性化剤はラセミ触媒のいずれのエナンチオマーをも活性化するが、これらジアステレオマー錯体間に大きな触媒活性差が認められ、高い光学純度で生成物が得られることを明らかにした。さらに、これらBINAP-Ru/ジアミンのジアステレオマー錯体はケトンの構造に依存して触媒活性が大きく異なることを明らかにした。こうしたエナンチオマー非選択的活性化ならびにエナンチオマー触媒選択的活性化の数値解析を行い不斉活性化法の有効性を示した。また、Pro-Atropisomericなビフェニルホスフィン配位子を有するルテニウム錯体のキラルなジアミンとの活性化錯体形成時における1Hおよび31P NMR分析を行い、2つの可清七なジアステレオマー活性化錯体のうち一方が優先して生成することを明らかにした。
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