研究課題/領域番号 |
10132225
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
大澤 映二 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40001763)
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研究分担者 |
小澤 理樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30293757)
栗田 典之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (40283501)
スラニナ ゼネック 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10283508)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 熱分解機構 / C60 / Stone-Wales転移 / 計算化学 / 石炭 / 天然フラーレン / 遷移金属触媒 / 原子状酸素 |
研究概要 |
本研究は平成10年度内に予想外の展開を見せ、これまでの懸案であったフラーレンの選択的合成が実現しそうな見込が立ってきた。計画調書で述べたように、全く理論的な考察と分子軌道計算からフラーレン生成反応の律速段階と考えられるStone-Wales転移にたいして酸素原子が有効な反応促進触媒となることを推定していた。しかし現行のフラーレン合成法はいずれも高温下で行なわれるので炭素の焼尽を防ぐ為に不活性雰囲気で反応を実施するために、酸素が反応系内に存在せず、従って触媒として働く機会はなかった。 ところが偶然のきっかけで中国雲南省の炭鉱から高濃度にフラーレンを含むとされる石炭の試料を入手した。HPLC分折によってこの石炭が従来の天然フラーレンに比べて数百倍に達する濃度のC60,C70を含有することを確認した。この石炭中のフラーレンはこれまでの天然フラーレンとは異なり、燃焼以外の原因で生成することは明らかである。そこで、炭鉱周辺の環境などを考慮に入れて次の様な仮説を立てた。すなわち、太古の火山活動によって石炭層にマグマが貫入してかなり高温に加熱された時に、マグマあるいはペグマタイトに含まれる鉄およびチタニウムの酸化物が触媒となって、フラーレン生成が高濃度に生成した可能性がある。 モデル実験(燃焼法)によってこれら遷移金属化合物が酸素分子存在かで確かにC60,C70生成の触媒となることを確認した。これらの触媒は高温で酸素によって酸化物に変換され、その酸素原子がフラーレン前駆体あるいは中間体と結合して上記のようにStone-Wales転移の反応温度を低下させる作用を及ぼしたと考える。今後は、これら触媒が成長中の炭素クラスターと良く接触することの出来る条件(多分凝縮相)下でフラーレンの選択的合成法を編み出して行く予定である。
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