研究概要 |
1) ジオキセタンの生成機構 CASSCF{2,2}/6-31G^*法とMP2/6-31G^*法を用いて、反応の中間体および遷移状態を決定した。中間体である1,4-BRでは、結合C-Oを軸とした回転障壁は4.0kcal/molよりも小さく自由に回転すること、始原系とゴーシュ型1,4-BR中間体とを結ぶ遷移状態、および、1,4-BRからジオキセタンへの遷移状態を決定した。さらに高精度な手法であるCASPT2,CCSD,CCSD(T)から、この反応が、PEを経て進行するよりはむしろ1,4-BRを経て二段階機構で進行することが判った。 2) ジオキセタンの分解機構 MP4/6-31G^*法を用いて検討した結果、この分解反応は、まずO-O結合が切れ1,4-BRを形成し、その後C-C結合が切れてホルムアルデヒドが生成することが解った。これらの遷移状態を決定し、律速段階はO-Oの解離であり活性化エネルギーは20kcal/molであった。現在、ジオキセタノン、および、電子供与性置換基を付与し、生物発光のモデルとして検討を進めている。 3) CcO活性部位のモデル計算 Hemea_3のポルフィリン環およびヒスチジン残基のイミダゾール環をアンモニア分子に置き換えたモデルに対し、ab initio分子軌道法がら検討した。反応中間体である[a_3^<2+>,OO-CU_B^<1+>]および[a_3^<2+>-OO,CU_B^<1+>]の構造を決定した。特に酸素がa_3^<2+>に結合した構造では、酸素原子間の距離は1.47Åと非常に長くなっており、実験結果と良好な対応を示した。還元反応の初期段階を検討した結果、活性部位への酸素分子の付加と酸素分子のプロトン化が協奏的に起こっていると結論された。
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