研究概要 |
低級炭化水素の化学原料化を目標にして,固体電解質イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いる電気化学反応器(M1|YSZ|M2;M1:陽極,M2:陰極)を試作しYSZ中の格子酸素を強制的に移動させ,電極/YSZ/気相の三相界面に生成する活性酸素種(O_2^<2->,O_2^-,O^-等)による炭化水素の部分酸化について研究した。Au|YSZ|Agシステムを用いるとエタンからアセトアルデヒド,プロパンからアクリルアルデヒド,ブタンから2-ブタノンとメチルビニルケトン,イソブタンからメタアクロレインが効率よく生成した。さらにプロピレン,1-ブテン,イソブテン等の低級オレフィンは対応するα,β-不飽和アルデヒドまたはケトンに変換できる。Auは酸素の解離活性化能力がないにも拘らず酸化反応が進行し,また反応生成物の量は透過酸素量に比例することよりこれらの反応は透過した活性酸素種によるものであり,この電気化学反応装置の有効性が証明された。 次にこの透過した活性酸素をさらに有効利用するために,陽極にRh,Pdを用いたRh|YSZ|Ag,Pd|YSZ|Agシステムを作成しメタンの部分酸化による合成ガスの製造について研究した。陽極膜を薄くすることにより3次元の網目構造となりこの部分酸化の選択制が向上した。またRh,Pdの役割を解明した。 その他固相晶析法によりNiあるいは二元金属Ni-Cu,Fe,Coをペロブスカイト担体(CaTiO_3,BaTiO_3,SrTiO_3)に担持させた触媒を調製し,メタンのCO_2リフォーミングによる合成ガスの製造について研究した。その結果,転化率,選択制,触媒の耐久性いずれの点においても従来の触媒系を凌駕しうる活性を有することが明かとなった。
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