研究課題/領域番号 |
10132252
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 教授 (70150498)
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研究分担者 |
嶌越 恒 九州大学, 工学部, 助手 (00284539)
林 高史 九州大学, 工学部, 助教授 (20222226)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | ポルフィセン / Co-C結合 / オレフィン / 酸素化反応能 / テトラビロール / アルキル錯体 / 側鎖置換基 |
研究概要 |
ポルフィセンはポルフィリンの構造異性体であり、新しい環状テトラピロール化合物として知られている。ポルフィセンは、ポルフィリンと同様に金属との錯体形成能力を有するが、ポルフィセン金属錯体はまだその歴史が浅く十分な情報が得られていない。それ故ポルフィセン金属錯体を合成し、その触媒機能をポルフィリンと比較検討することは非常に興味深い。本研究では、ポルフィセンコバルト(III)錯体を用いて、コバルト-炭素結合を経由したオレフィンの付加反応について検討した。その結果、コバルト(III)ポルフィセン錯体は、トルエン-エタノール混合溶媒中、電子豊富なオレフィンであるビニルエーテル類と反応して光敏感性を示す、コバルト-炭素結合を有するアルキル錯体を形成することが電子スペクトルおよびNMRスペクトルより明らかとなった。その反応速度定数は、コバルト(III)テトラフェニルポルフィリン錯体の約10倍以上も大きく、ポルフィリンよりも優れた触媒となることが示唆された。 そこで好気性条件下、光照射しながら反応生成物をガスクロマトグラフ法により追跡した結果、基質オレフィンへの一原子酸素添加反応が触媒的に進行し、主生成物として対応するアルコールおよびアルデヒドが得られた。触媒回転数は約100であった。これは、上記のアルキル錯体のコバルト-炭素結合に酸素分子が挿入し、中間体として生成するアルキルペルオキソ錯体の熱解裂により生成すると予想される。同様の反応をポルフィリン錯体やサレン型錯体およびコスタ型錯体を触媒として用いて行い、その触媒効率を比較した結果、ポルフィセン錯体は反応速度、触媒回転数および耐久性いずれにおいても優れていることが明らかとなった。さらに、ピロール上の側鎖置換基を変えたポルフィセン錯体を合成し、その触媒機能を検討した結果、触媒回転速度に大きな向上が見られ、側鎖置換基により反応性がコントロールできることが明らかとなった。
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