研究課題/領域番号 |
10133245
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
磯辺 清 大阪市立大学, 理学部, 教授 (70101285)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | セレノールロジウム二核錯体 / ジセレニド錯体 / 動的挙動 / flapping運動 |
研究概要 |
近年、我々は架橋のSH基をもつロジウム二核錯体[(RhCp^*)_2(μ-CH_2)_2(μ-SH)](BPh_4)(Cp^*=η^5-C_5Me_5)が、過剰のH_2S存在下、O_2と反応して、長方形のS_4をもつ[{(RhCp^*)_2(μ-CH_2)_2}_2(μ_4-S_4)](BPh_4)_2を選択的に生成することを見出した。本年度は、[(RhCp^*)_2(μ-CH_2)_2Cl_2]とH_2Seとの反応で[(RhCp^*)_2(μ-CH_2)_2(μ-SeH)](BPh_4)(1)を合成し、これを用いて対応するμ_4-Se_4錯体を得ることを試みた。 μ-SH錯体の場合と異なり、1は二種類の生成物を与えた。一つは、Se_2配位子をもつ[{(Cp^*Rh)_2(μ-CH_2)_2}_2(μ-Se_2)](BPh_4)_2(2)であり、他のものは、現在、X線解析で、構造を確認しているところである。μ-Se_2は、Se間に単結合(2.3875(5)Å)を有する。そしてそれは、二つのRh-Rh結合(2.6353(5)Å)に対して平行に配置し、珍しいside onのμ_4配位をしている。そのためRh2Se2Rh2の骨格は、バタフライ構造となっている。錯体2は、アセトニトリル中、低温(-40°C)で、結晶中で見られた構造を一定にして保っている。しかし温度を上げるとfluxionalな挙動が観察される。低温で見られる非等価な四つのメチレンの^1HNMRシグナルは、温度を上げると二つの非等価なシグナルに変わる。このfluxionalな挙動は、完全に可逆である。この温度依存性の^1HNMRスペクトル変化は、分子内“flapping"運動(二つのSe原子でのsynchronous double-site atomic inversion)で説明できる。-40°Cでのメチレンの四つのシグナルをlow temperature limitスペクトルとしてスペクトルの波形解析を行い、各温度でのflapping運動の速度定数をもとめた。これらの値を用いてEyringプロットを行うと、良い直線が得られた。これより活性化パラメーターとしてΔG^‡=66±1kJmol^<-1>(at298.15K),ΔH^‡=70±1 kJmol^<-1>そしてΔS^‡=15±1 Jmol^<-1>K^<-1>が算出された。比較的小さいΔS^‡の値は、運動が分子内で起こっていることを支持しており、またΔH‡の値もSe原子上でのpyramidal atomic inversionに対して妥当な値である。
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