研究概要 |
最近、我々はアシルポリシラン類[(Me_3Si)_3SiCOR;R=Me,i-Pr,t-Bu,Ad,Ph.Mes]を140℃に加熱すると、シリル基の1,3-転位が起こりシレンに容易に異性化することを見い出した。また、このようにして生成するシレンの種々の試剤に対する反応性を検討してきた。アシルポリシラン類の熱反応をオレフィンあるいはカルボニル化合物の存在下で行うと、シレンとこれら試剤との1:1付加物が収率良く得られることをすでに報告した。本年度は、アシルポリシランから生成したシレンの反応性についてさらに多くの知見を得る目的で、アシルポリシラン類とモノ置換アセチレンおよびジエンとの反応を行った。また、得られた生成物の熱反応も行った。アシルポリシラン(R=t-Bu,Ad)の熱反応を140℃、24時間の条件で、t-ブチルアセチレンの存在下で行ったところ、シレンとアセチレンとの[2+2]付加化合物のみが定量的かつ位置特異的に得られることが見い出された。さらに生成した四員環化合物を脱気封管中、250℃、6時間反応させると、四員環を保持し、かつトリメチルシリル基とトリメチルシロキシ基が交換した異性体が高収率で得られた。アシルポリシラン(R=t-Bu,Ad)の熱反応を2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン存在下で行うと、シレンとジエンの[2+4]環化付加生成物およびエン付加反応型の生成物が得られた。生成した六員環化合物の熱的挙動を明らかにする目的で脱気封管中、250℃に加熱したところ、四員環と同様にトリメチルシリル基とトリメチルシロキシ基が交換した異性体が高収率で得られることが明らかとなった。
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