研究課題/領域番号 |
10134207
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
櫛 泰典 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (60177988)
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研究分担者 |
六川 千秋 東京医科歯科大学, 医学部, 教務職員
小倉 美佐 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10301160)
飯田 静夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00009987)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 異種移植 / α-1、3-ガラクトース / ガラクトシルトランスフェラーゼ / 糖転移酵素 |
研究概要 |
ブタの臓器をヒトに移植するいわゆる異種移植を臨床の場で応用する研究が急速に進展してきている.この背景には深刻な臓器提供者不足の問題が生じていることが最大の理由である.我々の研究は異種移植における最も深刻な問題である超急性拒絶反応を回避するために、ヒト血清中に存在する自然抗体が認識するブタ臓器に発現している抗原を制御する新規かつ効率的な方法を生化学的及び分子生物学的手法により確立することを目的とした.1、ヒトに存在する自然抗体により認識される糖鎖抗原の解析.ブタ血管内皮由来細胞株よりα1-3ガラクトース糖鎖抗原を有する糖脂質、糖タンパク質の構造を生化学的手法により明かにした.糖脂質の構造では中性糖脂質と酸性糖脂質合わせて数種を分離、精製し、ガスクロマトによる成分分析,質量分析計による分子イオンの測定を行い、合わせて2種のLe^xを含む新規構造を明かにした.これらの得られた数種の糖鎖構造を用いてヒトの自然抗体でどのα1-3ガラクトース糖鎖抗原が強く親和性をしめすか検討を行っている.2、α1-3ガラクトース糖鎖抗原を有する糖タンパク質の構造解析.ブタ血管内皮由来細胞株(PK-15)より膜画分を調製し、α1-3ガラクトースに親和性を持つレタチンカラムを用いて糖タンパク質の精製を試みた.その結果、120kDに分子量を持ち、α1-3ガラクトース糖鎖を有する糖タンパク質が精製された.目下この糖タンパク質の一次構造解析のために気層のアミノ酸配列決定装置を用いてその構造解析を行っている.現在得られたアミノ酸配列と今まで知られている既知の配列をデータベースで調べると報告されていない糖タンパク質であることが示唆されたので、現在その配列を再度、いくつかのペプチドに分解して再検討を行っている.3、α1-3ガラクトース糖鎖抗原の発現抑制.PK-15細胞のα1-3ガラクトース糖鎖抗原を合成するα1-3ガラクトース転移酵素のcDNAを基にいくつかのアンチセンスオリゴDNAを合成した.これをPK-15細胞と協培養すると特定のアンチセンスオリゴDNAがα1-3ガラクトース糖鎖抗原の発現を抑制することがあきらかになり、同時に効果があったアンチセンスオリゴDNAがその後のヒト血清との反応に於で処理しない、あるいは効果のないものと比較して、結合が抑嗣されることが明かになった.このことは血清に含まれる自然抗体がα1-3ガラクトース転移酵素のアンチセンスオリゴDNAにより反応が抑制されたことを示している.現在効果があった箇所を含む更に長いアンチセンスDNAを作製し,これを発現ベクターに組み込み、この細胞にトランスフエクトし、α1-3ガラクトース糖鎖抗原の発現を恒久的に抑制したクローンを作製、選択している.1から3まで現在、研究を並行して行っており、得られたを考慮して今後更に異種移植実現に向けて精力的に研究に取り組みたい.
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