研究課題/領域番号 |
10134208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
柳下 正樹 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (70132793)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ヘパラン硫酸 / プロテオグライカン / FGF / シグナル伝達 / 副甲状腺 / FGF受容体 |
研究概要 |
これまでの研究でPTr細胞株の細胞増殖は細胞外液中カルシウム濃度に依存しており、おもにFGF-1のautocrine制御により調節されていることが明らかにされた。このFGF-1の作用機序において細胞表面ヘパラン硫酸プロテオグライカンの存在がFGF-1の高親和性レセプターへの結合に必須であることも示された。またこの細胞で発現されるFGFレセプター(FGFR)はレセプター自体がヘパラン硫酸鎖を持ちヘパラン硫酸プロテオグライカンとして存在していることが示されている。PTr細胞では、FGFRはそのmRNAのaltenative splicingにより3個あるいは2個の免疫グロブリン様ドメインを持つ分子種として細胞表面に発現しており、それぞれ3個所および1個所のヘパラン硫酸合成開始可能アミノ酸配列(Ser-Gly)を持っている。これら2種類のFGFRをコードするcDNAおよびsite directed mutagenesisにより上記Ser残基をAlaに変更するcDNAを調製し、エクスプレッションベクターとともにこれらcDNAを複数種の細胞に強制発現することにより、どのSer-Glyドメインがヘパラン硫酸合成開始のアクセプターとなりうるかを同定した。その結果2個の免疫グロブリン様ドメインを持つ短縮型FGFRだけがヘパラン硫酸合成開始のアクセプターとなりうることを示した。また、細胞外カルシウム濃度変化によりPTr細胞は短時間のうちにFGFRの細胞表面への発現、あるいは細胞内へのtranslocationを行うことによりFGF-1に対する細胞の感受性を変化させる機構を持つことも明らかになった。これら本年度の研究結果をまとめると以下のとおりである。 副甲状腺細胞株PTrにおいてその細胞増殖はおもにFGF-1のautocrine制御により調節されており、(1)細胞表面ヘパラン硫酸はFGF-1のFGFRに対する高親和性結合に必須である、(2)細胞はFGFRをコードするmRNAのaltermative splicing、FGFRのゴルジ装置でのヘパラン硫酸化、細胞外カルシウム濃度感知機構を介したtranslocationよる細胞表面へのFGFRの発現調節などにより、ヘパラン硫酸とFRF-1の相互作用を制御している機構の存在することが明らかとなった。
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