研究課題/領域番号 |
10134224
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (40192497)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 糖 / ヒアルロン酸 / 硫酸化 / 光リソグラフィ / ヘパリン / パターン / 血液適合性 / 医用材料 |
研究概要 |
ヒアルロン酸に硫酸基を導入することによりヘパリン類似の抗凝血活性を付与することに成功したので、これをポリスチレンやポリエチレンテレフタレート膜のような汎用合成高分子上に光固定化する方法を開発した。そして、半導体工業などで用いられる光リソグラフィ法を応用し、硫酸化ヒアルロン酸をマイクロパターン状に固定化し、血液成分との相互作用を調べた。 光固定化のために、硫酸化ヒアルロン酸に光反応性の官能基であるフェニルアジド基を結合した。カップリング反応は、硫酸化ヒアルロン酸とアジドアニリンを混合して、縮合剤として水溶性カルボジイミドを加えることにより行った。フェニルアジド基を導入しても抗凝血活性が低下しないことを血液テストにより確認した。 得られたフェニルアジド基導入硫酸化ヒアルロン酸を水に溶解し、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレート膜の上にキャストした。空気中で乾燥した後、一定のマイクロパターン(今回は線幅100μmの縞状パターン)にクロムメッキした石英ガラスの光マスクで覆い、紫外線を照射した。光の当たった領域でのみ、フェニルアジド基の分解が起き、ナイトレシラジカルが形成され、これが分子内・分子間で反応し、固定化された。水で洗うことにより、未固定の硫酸化ヒアルロシ酸は除かれた。パターン状に固定化が行われたことはカチオン性の染料で染色して顕微鏡で観察することにより確認した。 このように硫酸化ヒアルロン酸マイクロパターン状に固定化された膜に血小板を作用させると、非固定化領域でのみ血小板が粘着し、固定化領域には全く血小板の粘着しないことが顕微鏡の一視野で観測された。このような光固定化法は、特別な官能基を表面に有しない有機材料の修飾法として優れている上に、マイクロパターン状に固定化して生体成分との相互作用を調べやすく、有用な方法であることが示された。
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