研究課題/領域番号 |
10134232
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究分担者 |
長崎 幸夫 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (90198309)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ブロック共重合体 / 高分子ミセル / 抗ガン剤 / ドラッグデリバリー / ポリエチレングリコール / ポリ乳酸 / グルコース / ガラクトース |
研究概要 |
前年度において、片末端に位置特異的に糖鎖を結合させたブロック共重合体(sugar-PEG-PLA)が得られることを明かとした。この成果をふまえて今年度は、末端に結合する糖鎖の種類を拡張するとともに、ブロック共重合体の自己会合に基づくcore-shell型高分子ミセルの調製法の確立とその特性解析を詳細に行った。 ブロック共重合体を良溶媒であるDMAcに溶解させ、PEG鎖の選択溶媒である水に対して透析することによってPLAを内核、sugar-PEGを外殻とするsugar-micelleを調製した。このミセルは、動的光散乱測定結果から粒径約40nmの単分散ミセルであることが確認された。キュムラント解析による多分散度は0.07-0.09と極めて狭く、また、拡散係数の角度依存もないことから、ほぼ球形の形態を取ることが示唆された。 高分子ミセルを薬物のキャリアとして用いる場合には、高度希釈条件における安定性が要求される。これは臨界会合濃度(cac)から見積もることが可能である。cacについては、蛍光法により決定した。その結果、cacは数mg/Lと極めて小さい値を取り、このミセル系が希釈に対して安定であることが明かとなった。 次に、内核の運動性を見積もる目的で高分子ミセルの^1H-NMRを重水中で温度を変えて測定し、PLAとPEG由来のピークの積分比を算出した。PLAのT_gはおよそ40℃であるが、その付近の温度を境にしたPLA主鎖の運動性変化とピーク強度比の値は良く対応し、ミセル内核が温度上昇に伴って40℃付近でガラス状からゴム状へと転移することが示唆された。この事実は、内包薬物の放出を温度によって制御できる可能性を示しており、ガン温熱療法との沸用への展開が期待される。
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