研究課題/領域番号 |
10136204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 教授 (40114136)
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研究分担者 |
谷本 久典 筑波大学, 物質工学系, 講師 (70222122)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 非晶質合金 / 集団運動 / 電気泳動力 / 通電誘起内部応力 / 結晶化 / 均一核形成 / パルス通電 |
研究概要 |
非晶質合金に電流を通じると構造緩和過程および結晶化の均一核形成過程が促進される.この現象を利用して相変態に関する原子スケールでの知見を得る目的で、非晶質Pd_<80>Si_<20>およびCu_<50>Ti_<50>合金についてパルス通電による結晶化過程を調べ以下の結果を得た。(1)ピーク時電流密度10^9A/m^2のパルス通電により、結晶化開始温度は300K程度低下する。(2)a-Pd_<80>Si_<20>の場合、この結晶化初期では未知の結晶相が出現する。この現象を利用して、パルス通電時の通電効果以外の温度サイクル効果、急速加熱効果、磁場の効果を独立に測定し、それらは現在注目している通電効果を与えないことが判明した。そこで、コンデンサーを用いるパルス通電実験で、試料長さを変えると電気抵抗が変わるので、試料の単位長さあたりのジュール熱と電流密度を独立に変えることが出来ることに着目して実験を進め、更に次の結果を得た。(3)結晶化開始時の試料の単位長さあたりのジュール熱は現在の実験条件では殆ど同じであったが、電流密度(i_d)は大きく異なり、eXp(i_d)xτが所定の値になると結晶化が開始することが分かった。ここで、τは放電の時定数である。一方、一軸応力下では結晶開始温度が低下することが知られているが、従来の研究は長時間の等温焼鈍での結果である、本実験との直接的比較は困難であるから、比較的早い等速昇温での実験を進め、(4)高温での弾性限界を越す500MPaの一軸応力下でも等速昇温では結晶化温度の有意な低下は観測されないことが分かった。一方、非晶質合金のクリープについては、粘性が一軸応力の下で指数関数的に低下することが報告されている。このことは、(5)通電による結晶化開始温度の低下は通電誘起一軸内部応力による原子の拡散速度の上昇に起因するがその時の通電誘起一軸内部応力は数GPaに達していることを示唆する。機構の詳細は追究中。
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