研究概要 |
研究成果は以下のとおりである. (1) その場X線回折測定の結果より,d-Al_<72>Ni_<20>Co_8準結晶,i-Al_<72>Pd_<18.5>Mn_<9.5>準結晶,i一Zn_<55>Mg_<35>Y_<10>準結晶は,いずれの準結晶も70GPaまでの超高圧下で安定であり,アモルファスへは変態しないことが明らかになった. (2) d値の圧力依存性は,いずれの準結晶もすべて圧力増加に対して,単調に連続的に減少した.このことから,70GPaまでの超高圧下までいずれの準結晶もそれぞれの準結晶構造に大きな変化はないことが明らかになった. (3) d値の圧力依存性から評価された圧縮曲線から,いずれの準結晶も圧縮挙動は等方的であることが明らかになった. (4) 圧縮曲線から求められた体積弾性率とその圧力一次微分は,d-Al_<72>Ni_<20>Co_8準結晶は122±12GPa,4.8±0.8,i-Al_<72>Pd_<18.5>Mn_<95>準結晶は100±12GPa,5.3±0.9,i-Zn_<55>Mg_<35>Y_<10>準結晶は73.6±1.50Pa,3.62±0.08であった. (5) d-Al_<72>Ni_<20>Co_8準結晶の周期方向と準周期方向に相当する回折線の半値幅から評価された歪みの圧力依存性より,高圧力下での歪みは異方的であり,準周期方向はより歪みやすいことが明らかになった. (6) i-Zn_<55>Mg_<35>Y_<10>の各圧力での回折線の半値幅をフォノンモーメンタムとフェイゾンモーメンタムに関して解析した結果,高圧下での歪みはFrozen-in Phason Strainモデルなどの従来提唱されているモデルでは説明できなかった. (7) その場測定前と70GPaからの回収後のX線回折パターンの半値幅の解析より,残留歪みはi-Al_<72>Pd_<18.5>Mn_<9.5>準結晶では約0.53%,i-Zn_<55>Mg_<35>Y_<10>準結晶では約0.73%と評価された.
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