研究課題/領域番号 |
10136249
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
坂本 英和 帝京大学, 理工学部, 助教授 (60089886)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 変態に伴う形状変化 / 示差走査熱量測定 / 非化学エネルギー / 平衡温度 / Cu-Al-Ni合金 / 弾性エネルギー / 変態温度区間 / 変態擬弾性 |
研究概要 |
Cu-13.4Al-4.2Ni(質量%)合金単結晶のβ_1【double arrow】β_1'変態について、試料サイズ(質量W)による熱誘起マルテンサイト(M)変態特性の変化と変態擬弾性挙動の温度依存性との関係を調べた。その結果、wが軽くなるとMsとAfが低下し、MfとAsが上昇すること、MsとMfのw依存性をw=0に外挿した温度Ms^#とMf^#とは一致し、またAsとAfのw依存性をw=0に外挿した温度As^#とAf^#とが一致すること、さらにこれらの温度は、各々変態応力σ^Lと逆変態応力σ^Uの温度依存性を応力零に外挿した温度T^L(0)およびT^U(0)に一致することを明らかにした。このwによるM変態特性の変化は、(Ms+Af)/2を母相とM相の化学的自由エネルギ-Gchemが等しくなる熱力学的平衡温度Toとする従来のM変態の熱力学では説明できない。そこで、筆者らにより提案された、実験的平衡温度To^☆=(Ms+Af)/2は、変態に伴う形状変化に対する周りの領域からの弾性的背応力効果による弾性エネルギーEelasなどの非化学的自由エネルギーGnoncを含む全自由エネルギーGtotが母相とM相とで等しくなる温度であるとする新しい熱力学的体系に基づいて、wによるGnoncの変化を変態擬弾性のデーターなどを用い定量的に評価した。その結果、wが大きくなると、(1)変態終了に必要な温度区間Ms-Mfが最も大きく拡がり、変態が終了するまで進行する時に母相とM相に発生する非化学的自由エネルギーの差ΔGnonc(p)^<P→M>のwによる変化が最も大きいこと、(2)To^☆は上昇するが、これをもたらすΔGnonc☆^<P→M>には、Ms点において分率foのM相が生成する時にその形状変化に対する周りの領域からの弾性的背応力効果に伴い母相およびM相中に発生するEelasが大きな役割を果たしていること、(3)変態の開始に必要な過冷To^☆-Msは、原子クラスターの一斉擬剪断運動に対する格子の摩擦抵抗ΔG^*に起因するものであり、これはわずかに大きくなるだけであることなどを明らかにした。
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