研究課題/領域番号 |
10136251
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
清水 謙一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60029832)
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研究分担者 |
岸 陽一 金沢工業大学, 工学部, 講師 (70265370)
矢島 善次郎 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60148145)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ベイナイト / 相変態 / 拡散型 / 無拡散変位型 / 炭素鋼 / 高分解能走査型電子顕微鏡 / フラクトグラフィ / マルテンサイト |
研究概要 |
ベイナイト変態が最終的に拡散支配の相変態であることは確かであるが、核生成および成長の初期段階で無拡散変位型機構が関与していて、成長がかなり進行した段階で拡散型機構が支配的になるとする説と、終始一貫して拡散型が支配するとする説がある。それを解決するために、薄膜効果や局部観察による結果の多様性が無いバルク試料を用いて、母相-ベイナイト相界面の破面を高分解能走査電子顕微鏡で観察したりX線でひずみの分布を解析して、界面における原子拡散の有無を調査することにした。原子拡散の有無は破面組織やひずみ分布に違いをもたらすと考えられるからである。 JIS規格S25CおよびS55Cの炭素鋼に適当な熱処理を行って、(1)終始原子拡散機構だけで生成したフェライト+オーステナイ(焼き入れ中にマルテンサイト化)組織、(2)焼き入れて変位型原子無拡散機構だけで生成したマルテンサイト組織、そして(3)問題の上部ベイナイト+オーステナイト組織および(4)下部ベイナイト+オーステナイト組織(いずれのオーステナイトも焼入れ時にマルテンサイト化)からなる試料を作製し、それらの試料の引っ張り破断面の組織と組成などを観察した。 原子拡散機構だけで生成したフェライト部の破面にはリバーパターンも見られる典型的な癖開破面を呈していた。一方、変位型原子無拡散機構だけで生成したマルテンサイトの部分には微細なマルテンサイト晶がそれぞれに癖開破壊したと思われる細かな領域に分かれていた。原子のやり取りが行われたフェライトと旧オーステナイトとの界面に沿う破面が得られなかったが、フェライト部の破面とマルテンサイト部のものとでは可なり異なった様相を呈していることが分かった。元素分析も行うことによって、これら種々の相変態の原子拡散に関して幾つかの新しい情報が得られた。
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