研究課題/領域番号 |
10138206
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
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研究分担者 |
中島 龍也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70281962)
黒木 和彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10242091)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 量子ドット / 二重量子ドット / 強磁場 / 電子分子 / 単一電子トンネリング / 魔法数軌道角運動量 / スピン・ブロッケード |
研究概要 |
半導体を微細に加工する技術の発展により、電子が数個しか収納されていない量子ドットや、電子が一個一個出入りする単一電子トンネリングが確立されている。このような単一および二重量子ドットに強磁場をかけた場合に、基底状態のスピン状態を少数電子系の厳密対角化により調べ、結果を「電子分子」描像とそれに伴う「魔法数」により解釈した。また、この系はスピン・ブロッケード(スピン波動関数の非整合により電子トンネリングが阻害される効果)を実現させるのに有利であることも示した。これは、電子相関のために電子が分子を組むために、「魔法数」軌道角運動量と全スピン角運動量が連動する(つまり、軌道運動がどのようにクーロン斥力を避け得るかが全スピン状態に敏感に依存する)ので、軌道角運動量魔法数ジャンプに伴って全スピンもジャンプするため、と解釈される。 磁場をかけない普通の場合には、フント則という弱く相互作用する電子系に対するスピン状態の規則が良く成立し、スピン・ブロッケードは期待しにくい。これと対照的に、強磁場下では電子はサイクロトロン運動に局在化され、そのために強相関問題となるために事情が大幅に変わった訳である。 本年度は特に、(1)量子ドットの閉じこめポテンシャルの強弱に応じてスピン・ブロッケードの観測のされ易さが変わり、現実的な領域で観測され得ること、(2)二重量子ドットの状態は「立体電子分子」配置により解釈され、スピン・ブロッケード条件は単一の場合より満たさせ易くなること、(3)磁場が弱い場合はランダウ準位間の混成が無視できないが、この効果も取り入れると、魔法数の観測の方法の一つと考えられる光学吸収スペクトルにおいて、ランダウ準位間の遷移に対応する分枝にも魔法数に対応する異常が現れることを示した。
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