研究概要 |
キャリアと磁性イオンの相互作用を明らかにする材料系としてII-VI族希薄磁性半導体に注目し,その伝導度制御を進めてきた。従来,伝導度制御が困難であるとされてきたこれらの材料系に対して,分子線エピタキシャル法およびプラズマドーピング技術を適用することにより,n型,p型伝導制御が可能であることを明らかにした。 具体的には,Mn組成20%のZnMnSeに塩素を添加することにより,10^<17>cm^<-3>台後半のn型伝導を実現し,その低温における伝導現象を詳細に検討することにより,GaMnAsとは異なる正の磁気抵抗をはじめて観測した。 また,磁性イオンと強い相互作用が期待される正孔を注入するためにZnTe系に注目し,ZnMnTe(Mn組成7〜8%程度)において,はじめて10^<18>cm^<-3>台のキャリア濃度を実現することに成功した。さらに,CdMnTe/ZnTe量子井戸構造を作製し,窒素を障壁層であるZnTeに変調ドーピングすることにより,効率よく正孔をCdMnTe井戸層に注入できることも示した。 これらの実験結果より,II-VI族希薄磁性半導体がキャリアと磁性の相互作用を観測する系として非常に有望であり,変調ドーピングなどの技術を適用することにより,キャリアとの相互作用による強磁性相の発現が期待されることが明らかとなった。
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