研究概要 |
本研究では,SP(Software Processes)とES(Expert Systems)の進化・発展について考察した.前者については,共通フレームSLCP-JCF94とリアルタイムシステムの開発事例から,汎用SP群と詳細SP群を収集して分析しSPスキーマを定め,入出力オブジェクトとSPスキーマの記述属性に着目しながら,SP階層を構築した.また,SPの操作対象物としてのオブジェクトは,「ハードウェア機能設計書」というように「システム構成要素・属性・操作・表現形態」といった4要素から成ることが多いことが判明したので,それに従って,オブジェクト階層木を構築した.以上のように整備したSPスキーマとSP階層を合わせてプロセスオントロジー(約250プロセス),オブジェクト階層をオブジェクトオントロジー(約450オブジェクト)と呼び, 2つのオントロジーを利用したSP実働支援環境を開発し,実験を通してその有用性を確認した.後者については,複数のES間でシステム(推論エンジンと知識ベース)の仕様レベルの情報交換を行い,実装レベルでその不都合を解消していく枠組みについて検討し,粗粒度の仕様記述部品ライブラリーに対して,細粒度部品ライブラリーを整備することにより,設計仕様を実装するための有益な情報を提示する事が可能となり,仕様変更を実装に反映する作業が大幅に短縮できることが確認できた.
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