研究概要 |
1、 中性子星におけるニュートリノ交換多体ポテンシャルの有限性の証明 ニュートリノ交換から生じる多体力は古くから知られ、R.FeynmanやJ.B.Hartleが重力の起源に関連して論じたが、最近、E.Fischbach(1996)が、この多体力は中性子星の自己エネルギーに矛盾を与え、これを回避するには、ニュートリノに数eVの質量が必要であると論じた。この議論に対して、K.Kiers等(1998)は数値計算により否定したが、数値計算は物理的意味が見え難いので、解析的な議論が望まれた。A.Abada(1998)等は、初めて3次元での解析的な議論を試みたが、その結論はCP不変性を破り数値的にも説得力に欠けた。我々は、CP不変性を正しく取り入れた定式化を行い、E.Fischbachの結論が誤りであり、中性子星の多体力の効果は有限で、ニュートリノ質量への制限はつかないことを初めて解析的に示した。(Prog.Theor.Phys.(Kyoto),Vol.100,1998,p1083。) 2、 ニュートリノ振動とCPの破れの解析的手法による分析 ニュートリノ振動を数値計算によらず解析的計算で分析できる事がほぼ分かったので、これを用いて現在、太陽ニュートリ、大気ニュートリノ、原子炉ニュートリノ、加速器ニュートリノ、長基線ニュートリノ等を解析中である。
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