研究概要 |
超対称模型は素粒子の標準模型における階層性を解決する模型であり、また大統一超対称模型のゲージ結合に対する予言が、ゲージ結合の測定と一致することから、注目されている。一方、この模型が現象論的な制限を満たすためには、超対称性の自発的な破れの機構を工夫して、フレーバーの破れを引き起こす相互作用を抑える必要がある。この自発的対称性の破れの機構として、多くの可能性が提案されている。 本年度は将来建設される、もしくは建設が検討されている高エネルギー粒子衝突実験で超対称粒子の生成崩壊過程を詳しく調べることによって、自発的超対称性の破れの機構で予言される、超対称粒子の質量・相互作用をどの程度測定することができるかを調べた。その結果CERNにおける陽子陽子衝突実験において、ゲージ・ヒグス粒子の超対称粒子であるニュートラリーノX^<-0>_2→X^<-0>_1ll,の崩壊分布を測ることによって、レプトンの超対称粒子の質量に制限がつくことを示した。また√<s>=500GeVの電子陽電子衝突実験では、LHCで発見できないほどスカラークォークが重たかった場合でも輻射補正を測定することによって、その質量を決定できることを示した。さらに超対称模型をニュートリノの質量も説明するように拡張した場合に予言されるレプトンフレーバーの破れをスカラーレプトンの崩壊から検証する方法についても議論した。
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