研究課題/領域番号 |
10140219
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
塚本 俊夫 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40217287)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 半導体検出器 / CCDバーテックス検出器 / 放射線耐性 / 常温運転 / 素粒子実験 |
研究概要 |
微弱信号を捉える高性能CCDに大強度放射線を当て、性能劣化の度合いを調べた。 CCDの性能の劣化は電荷転送中の損失(電荷転送損失率:CTI)の増加を招く。これを広い温度範囲(-100℃〜常温)にわたって測定する装置を開発し、放射線ダメージの状況を調べた。 まず、大強度電子線を当てたが、これは主にCCD表面にダメージを与える。表面での暗電流を抑えるため、駆動時のゲート電圧を反転させるといった特殊な技法を用いているが、ダメージを受けるにつれこの反転電圧を上昇させる必要があることがわかった。 CTIの温度依存性は生成されたトラップレベルにより、異なる振る舞いをするが、精密なシュミレーションを開発し、実験結果がよく再現できることがわかった。また、新たな駆動方程式を考案し、シュミレーションしたところ、放射線ダメージを受けた素子についても、常温(0℃以上)でCTIが十分低く抑える可能性も見出した。 さらに、素子を高温(150℃)にさらすことにより、0.44eVのトラップレベルを除去することにも成功した。これらの研究により、将来の線形加速器実験で予測される5x10^<11>/cm^2/yearの放射線被爆においても、CCD素子の飛跡検出器として利用できることに目処が立ちつつある。 加速器衝突点付近に置かれるCCDバーテックス検出器は低エネルギー電子とともに中性子もバックグラウンドとして受ける。中性子の被爆予測値は2X10^8/cm^2/yearと電子線に比べ低いレベルであるが、中性子線は素子全体にわたるダメージを与え、ダメージの影響が異なる。中性子線照射実験も進行中であるが、現在のところ、少数のピクセルにおいて暗電流が増加する(hot pixel)が観測される以外、CTIの増加等の悪影響は見られておらず、中性子線から生じる問題は軽微であると予測している。
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