研究課題/領域番号 |
10140221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
南方 久和 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (00112475)
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研究分担者 |
安田 修 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50183116)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 三世代ニュートリノ / ニュートリノ質量 / フレーバー混合 / 小林-益川位相 / MSW効果 / 長基線ニュートリノ実験 / CP非保存 |
研究概要 |
レプトン・セクターのCP非保存を観測する方法やこれに関する問題点について体系的な研究を行った。太陽、大気ニュートリノの実験から示唆されている三世代ニュートリノ質量のパターンをいくつか仮定し、これらの下でニュートリノ振動実験におけるCP非保存の効果の大きさの評価を行った。ニュートリノ振動実験におけるCP非保存の効果の評価については重要な問題点が内在している。すなわち物質効果による「汚染」の問題である。これは長基線ニュートリノ実験において、地球の物質中をニュートリノが伝播するとき、物質中の電子との散乱によってニュートリノが屈折し、この効果で偽のCP非保存が生じてしまうからである。この「物質汚染」の効果と小林・益川位相による真性のCP非保存の相対的優位性の問題を、ダークマター・スケールの質量階層性の下で全ての振動パラメター領域において鳥瞰できる有力な解析的枠組みを物質効果摂動論として定式化した。実験によってヒントが与えられている質量の階層性によるかぎり、CP非保存の効果はせいぜい1〜数%であり、この通常のニュートリノ振り実験の観測精度を越えた精度を実現するためには、なんらかの特別な工夫が必要である、との結論を得た。この具体案として、中間地点(KEK→神岡実験では本庄市付近)に第3の検出器を置き、二つの検出器間の差をとることによってCP非保存効果の高感度の検出を可能にする新しい測定法を提唱した。 6月11-12日国際会議“New Era in Neutrino Physics"を東京都立大学で開催し、今後のニュートリノ物理学の発展の方向等について活発な議論を行った。この会議での白熱した議論が一つの発端となって、特定領域研究「ニュートリノ振動とその起源の解明」の提案・構想が生まれた。
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