研究課題/領域番号 |
10141218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田川 智彦 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10171571)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 芳香族ゼロエミッション / フリーデルクラフツ反応 / アシル化反応 / ヘテロポリ酸触媒 / 塩素フリープロセス / PSA反応器 / 部分イオン交換 / 触媒再使用 |
研究概要 |
燃料の環境負荷低減のためガソリン等からの脱芳香族化が法制化されている。これに伴い大量の芳香族化合物が余剰となる。本研究はこの余剰芳香族化合物をファインケミカルズ業界において資源として有効利用する事で、業種間のゼロエミッションシステムを確立する事目的とし、そのキープロセスであるフリーデルクラフツ反応の改良をはかるため行なった。フリーデルクラフツ反応は塩化アルミニウムを触媒とし、酸塩化物を反応試剤として用いる。これらは最終的に加水分解を経て廃棄されるため、環境負荷の非常に大きなプロセスである。本研究では塩素を使わないプロセスへの転換を目指し、酸無水物を反応試剤とした系を実現する新しい触媒の設計を試みた。種々のヘテロポリ化合物を用いて反応を行ったところ、セシウムで部分的にイオン交換を行ったタングスト燐酸が最も高い活性を示し、塩素を使用しないフリーデルクラフツプロセスの可能性を示した。また、各触媒の活性序列は各々の酸性質の序列に依存しており、最高酸強度の高い触媒の選択という触媒設計上の作業仮説の妥当性を示した。反応が完全転化に至らない理由を調べるため、原料の追加実験を行ったところ反応が再開した。このことは、反応停止の原因が触媒の劣化ではなく副反応による原料の消失が原因であることが分かった。本触媒はコロイド状であることから濾過回収が困難である。そこで、トルエンで洗浄を繰り返した後の再使用を試みた。トルエンを除去して固体状態にすると失活するが、トルエンに縣濁させた状態ならば再使用が可能であった。 また、高温域での反応を試みたところ、トルエンの沸点前後で反応率が大きく向上しほぼ完全転化に近づく事が判明した。このように芳香族のゼロエミッションシステムのキープロセスであるフリーデルクラフツアシル化反反応は特殊なヘテロポリ酸触媒を用いることで塩素フリープロセスに転換可能であることが示唆された。
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