研究概要 |
(1) 食生活に関わる環境負荷・資源循環構造 (1) 食料の生産・流通段階における環境負荷 増加傾向にある食料輸送に要するエネルギー消費関する要因分析を行った。その結果、平均輸送距離による影響が最も大きく,次いでエネルギー原単位要因が大きい。これにより,食料輸送のエネルギー消費の増加要因として,平均輸送距離の長距離化の影響が大きいことが確認できた。 また、食料消費に付随する環境負荷として包装材として、プラスチック包装と紙包装のフローを,産業連関表を用いて分析する。1970年と1990年を対象年とし,過去20年の食品に係わる包装材使用量の変化をみた。 (2) 廃棄段階での資源循環構造の分析 消費者から下流側にあたる排水及び廃棄物処理システムについて、それによる環境改善効果と環境負荷を評価する。LCA手法を適用して、最小のインプット(資源投入量)とアウトプット(エミッション)で最大の効果を引き出すような環境インフラを模索するものとする。今年度分析の対象としたシステムは、既存の都市における資源循環構造を大きく変化させる可能性をもったディスポーザーを用いた廃棄物及び排水の統合処理システムと、その対照としての一般廃棄物処理システムと、下水道システムである。 (2) 経済性等を考慮した環境評価シミュレーションモデルの開発 廃棄物と排水に着目して,消費による廃棄物・排水の発生・輸送,最終処理・処分プロセスを対象として,処理コスト,空間的輸送ファクター,環境負荷因子間のトレードオフ関係などを考慮して解析する。公共下水道,合併浄化槽(2タイプ),し尿・雑排水の分離処理の4つの処理システムを評価対象として,直接的なコストだけでなく、環境負荷の影響を社会的費用として内部化したモデルを構築した。それと実際にかかるライフサイクルコストとの合計を目的関数とし、実際の都市の人口密度をパラメータとして使用することで、仮想的な技術選択比率の試算を行った。
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