研究概要 |
先に得られた結果より,我々はプレニルトランスフェラーゼの基質結合サイトであるアスパラギンリッチな配列(DDXXDモチーフ)の近傍上流に存在するアミノ酸が生成物であるポリプレニルニリン酸の鎖長を決定する要因であると推測した。縮合反応が進むにしたがって酵素に結合したポリプレニルニリン酸の炭素鎖は上記のDDXXDモチーフが存在するαヘリックスに沿って伸長し,最終的にこのαヘリックス上の嵩高いアミノ酸側鎖にブロックされて酵素から解離すると考えられる。この仮説を確認すべく,ゲラニルゲラニルニリン酸合成酵素において生成物の伸長をブロックすると予想されるアミノ酸を小さい側鎖のものへと置換した。段階的にキャビティーが拡張された変異型酵素を作成すべく,変異導入を繰り返すことでαヘリックス一周分ずつ離れた位置に存在する1,2,3個のアミノ酸を側鎖の小さなものに置換したところ,それらの変異型酵素においてそれぞれC_<25>,C_<30〜35>,C_<40>のプレニルニリン酸が主生成物として得られた。さらに,その内2および3個の置換を行った変異型酵素においては最終生成物決定が曖昧になっており,C_<50>以上の長鎖の生成物が確認された。これらの変異型酵素はキャビティーの「底がぬけた」状態にあると予想される。以上の結果は全て我々の仮説を裏付けるものであった。また,上述した一連の実験とは反対にキャビティーを狭める方向での変異導入も行っている。
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