研究課題/領域番号 |
10145229
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村田 幸作 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (90142299)
|
研究分担者 |
橋本 渉 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (30273519)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 分子標的 / スフィンゴモナス / 体腔構造 / ABCトランスポーター / 細菌細胞表層構造 / ピット / 細胞表層工学 / 高分子膜輸送 |
研究概要 |
細胞内で合成された高分子物質が、細胞外に分泌される過程に関しては特殊な分子機構が提出されているが、細胞が高分子物質を取り込む機構は殆ど不明である。微生物細胞が高分子物質を資化する場合には、先ず、菌体外酵素によって高分子物質を低分子化し、生じた低分子化物を取り込むのが一般的である。しかし、本研究で扱うSphingomonas属細菌(A1株)では、低分子化酵素は細胞質に存在し菌体外に分泌されない。また、A1株は、微生物学の歴史の中で初めて見い出した細胞表層に特殊な体腔を有する細菌であり、その体腔に高分子物質を濃縮する。従って、体腔を介した極めて斬新な高分子物質取り込み機構の存在が予想される。本研究では、微生物細胞が高分子物質(多糖アルギン酸)を細胞内に取り込む分子機構を明らかにすることを目的とした。先ず、高分子アルギン酸の細胞内取り込みに変異を有する株AL-Lを誘導した。次に、定法に従ってAL-L株の変異を相補する9kbのDNA断片をクローニングし、その全一次構造を決定した。その結果、取り込み遺伝子群が見い出された。本遺伝子群は、高分子物質取り込みの特異的膜トランスポーター[透過酵素領域(0.6kb)、ATPase領域(1.1kb)]をコードしており、微生物の高分子物質取り込み系の存在を初めて明らかにした。以上の結果より、高分子アルギン酸は、先ず、体腔に濃縮された後、トランスポーターによって細胞内に取り込まれ、細胞内で低分子化及び資化が行われることが判明した。これは、微生物細胞の高分子利用機構の新規発見である。尚、本研究で購入したタイテック振とう恒温槽LT-10F(470干円)は、本研究を遂行する上で非常に有用であった。
|