研究概要 |
固体表面で機能する複合型の殺菌・抗菌材料の設計と開発を目的として,光殺菌触媒であるTiO^2粒子を活性炭に固定化した.大腸菌を供試菌として,TiO^2-活性炭複合体(T/AC)の細胞吸着特性と殺菌特性を評価した.温度298KにおけるT/ACへの大腸菌の吸着特性は,T/AC濃度が0.1〜1.0kg/m^3の範囲でFreundlich型吸着等温線により表された.大腸菌の殺菌特性を,温度298K,T/AC濃度0〜0.4kg/m^3,初期菌体濃度1×10^<11>,2×10^<12>ce11s/m^3で調べ,series-event modelに基づく殺菌速度式に従って解析を行った.見かけの殺菌速度定数k″と平均光強度I_<obs>に関し,k“/I_<obs>とT/AC濃度の関係を明らかにし,T/ACへの吸着を考慮した殺菌速度モデルに基づく計算線と良好に一致することを示した.さらに,初期菌体濃度1×10^<11>cells/m^3において,k″/I_<obs>の値は,吸着を考慮しない場合よりも約10^4倍大きな値を示し,T/ACによる殺菌過程における吸着効果が大きいことを明らかにした. さらに,非光照射・非溶出型無機殺菌素子である銀担持リン酸ジルコニウム(Zr)と生体分子との吸着性が認められているヒドロキシアパタイト(HA)との複合化方法を検討し,Zr/CaP複合粒子を調製した.大腸菌を供試菌として,k″の値を比較したところ,Zr単一粒子ではk″=5.24×10^<-2>min^<-1>,Zr/CaP複合粒子ではk″=1.37×10^<-1>min^<-1>となり,複合化により殺菌効果が著しく向上することを明らかにした.
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