研究課題/領域番号 |
10146208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関口 章 筑波大学, 化学系, 教授 (90143164)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ケイ素置換π電子系化合物 / ポリアニオン / π電子系アニオン種 / 多電子還元反応 / テトラアニオン / 有機リチウム化合物 |
研究概要 |
五員環を機軸として二重結合が環内に1つ、環外に3つ配列した新規な拡張型ケイ素置換8π電子系化合物であるケイ素置換トリメチレンシクロペンテンを、分子内に4つのビスシリルアセチレンユニットを有する大環状シリルテトラインのMn(Me-Cp)(CO)_3を用いた分子内四量化反応により合成することに成功した。また、その分子構造をX線結晶構造解析により明らかにした。 合成したケイ素置換トリメチレンシクロペンテンをTHF中、金属リチウムと反応させることにより、新規なポリアニオン種であるケイ素置換トリメチレンシクロペンテンテトラアニオンに変換し、テトラリチウム錯体として安定に合成、単離することに成功した。また、X線結晶構造解析によりその単量体構造を明らかにした。4つのリチウムはいずれもπ電子系骨格と結合した接触イオン対を形成しており、それぞれ異なる2種類の位置に存在している。2つのリチウムは五員環の中央の上下(η^5-型)、もう2つのリチウムは2つの環外炭素を架橋して上下に位置している(μ^2-型)。π電子系骨格は平面であり、五員環はほぼ正五角形である。四電子還元反応に伴い、π電子系骨格の炭素-炭素単結合長はいずれも短縮し、逆に二重結合長はいずれも伸長している。 構造パラメーターおよび各種NMR研究から、このテトラアニオン種は1つのアニオンが5炭素6π電子系のシクロペンタジエニドとなり、残りの3つのアニオンが環外炭素上に分布した極限構造式の寄与が大きいことを明らかにした。シリル基の電子的特性効果とシクロペンタジエニドの芳香族安定化の組み合わせにより、テトラアニオン種が安定に生成したと結論される。
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