研究概要 |
外部因子である電子を取り込み構造を変え、分子内に電子アクセプター部位と電子ドナー部位をもつ化合物(ベンゾ-ジプテリジン、BDP)は、条件により酸素に安定な分子錯体を形成する。BDP7-位と14-位に置換基(エチル、ブチル、ヘキシル、ドデシル)を導入しても同様な挙動をすることはわかった。当初目的とした二つのイソアロキサジン環が共有する芳香環の種類を変えた化合物の合成は困難であることがわかったので、BDP類縁化合物(二つのイソアロキサジン環が屈曲したもの(bent-BDP)、同方向をむいたもの(syn-BDP)を合成し、それらのレドックス挙動をBDP(-0.120,-0.770V)と比較した。サイクリックボォルタメトリーで求めた酸化還元電位は-0.325,-0.540V(bent-BDP),-0.500,-0.8V (syn-BDP)となり、酸化活性は大きさはBDP>bent-BDP>Syn-BDPであった。.今回合成した化合物は還元型はいづれも酸素で容易に酸化型にもどり、フラピンモデル化合物として機能することはわっかたが、BDPでみられた還元型の特異な挙動は見られなかった。このことは、BDPの電荷移動錯体形成時において互いに重なり合うイソアロキサジン環C=O,N-Hの逆平行相互作用の重要性を示唆している。またこれらの研究を通して、イソアロキサジン環のへテロ原子への水素結合とレドックス挙動の関係を明らかにする必要が生じたので、検討した。その結果.酸化還元電位は水素結合により大きく正にシフトする事を見出した。
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