研究課題/領域番号 |
10146213
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 滋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40192447)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 増感光分解 / エネルギー移動 / 電子移動 / 多重項有機分子 |
研究概要 |
本研究は、光励起された増感剤からのエネルギー移動あるいは電子移動過程を用いてスピン前駆物質を分解することによって、新規反応中間体の発生の可能性を探るとともに、高スピン有機分子の発生過程を光化学的に眺め直してその機構を明らかにし、光化学的に効率よく生成する高スピン共役電子系を設計することを目的としている。本年度は、次の二点について研究を進め、それぞれ以下のような進展があった。(1)芳香族炭化水素を増感剤とするジアゾ化合物の光分解反応・・ペリレンを増感剤として(p-ニトロフェニル)ジアゾ酢酸メチルを光分解すると、励起増感剤からジアゾ化合物への一重項エネルギー移動過程を経由してジアゾ化合物の分解が進行し、カルベンに由来する生成物が得られた。この増感光反応をアミンの存在下で行なうと、添加するアミンの酸化電位、あるいは系内で発生するアミンラジカルカチオンの求電子性やプロトン供与性の違いによって生成物分布が著しく変化することが判明した。特に、トリエチルアミンを添加した系では、ジアゾ化合物のラジカルアニオンの特異的な生成物であるアジンが主生成物として得られた。(2)増感部位を持つ基底五重項ジカルベン前駆物質の合成・・光吸収部位としてピレンを分子内に持つジカルベン前駆物質の合成を行なった。分子軌道理論を用いてこのビス(ジアゾ)化合物の電子状態を検討したところ、最高被占および最低空軌道ともピレンにほとんど局在しており、分子内エネルギー移動によって複数のジアゾ基を分解することが可能かどうかを検討するためのよいモデル化合物になることが判明した。
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